定年の壁を超えるには

2022年9月の孫子女子勉強会は、「老い」や「定年」という一見暗そうに思えるテーマでしたが、最高の結論が導かれました。

 

 

ジョナサン・スウィフトの名言

この日の勉強会は、いつにも増して予想外の話題から始まりました。

 

「皆さん、ガリバー旅行記は知っていますよね?」

 

もちろん子ども時代に読んで、「ガリバー旅行記」のタイトルもあらすじも知っています。大人の勉強会で、ガリバー旅行記の話題からどんな展開が待っているのかと気持ちは前のめりになります。

 

先を知りたい気持ちを前に、田中先生から画面共有されたスライドがこれでした。

 

 

このスライドに書かれている「ジョナサン・スウィフト」は、約300年前に出版された「ガリバー旅行記」の作者です。勉強会冒頭の問いかけは、このスライドの前フリだったというわけです。

 

それにしても、300年経っても変わらぬ人間の欲望をなんと鋭く端的に言い当てた言葉でしょう。

 

長生きすればそれだけ年を重ね、結果として老人と呼ばれるようになる。つまり、「長生きする=老人になる」です。にもかかわらず、長生きはしたいが老人にはなりたくない。人間はなんと矛盾に満ちた生き物でしょう。

 

定年本の読後感

長生きすることは働く期間が増えることでもあります。「定年後~」「早期退職時代の~」と謳う複数の書籍を読んだ田中先生の感想は、「読後感が悪い」だそうです。どの本も下っていくイメージがあり、暗くて怖いという感想を読者に抱かせるものだと言います。

 

田中先生は、定年本の暗さの理由のひとつに、定年で給料が下がることを受け入れろという暗黙のメッセージがあるとも感じたそうです。

 

転職の壁を超える

ここで、定年の話題から一度離れて、ポータブルスキルについての話題に移りました。ポータブルスキルとは、持ち運びできるスキルのことを指します。

 

転職の壁

勤務する会社Aでの仕事として提供していたスキルが、別の会社Bでの需要にも応えられるスキルがポータブルスキルです。会社Aでは仕事ができていても会社Bで要求される仕事に応えられないならば、ポータブルスキルをもっていないことになり、転職できない、あるいは転職後の会社Bでは活躍できないことになります。

 

定年の壁を超える

田中先生は、ポータブルスキルには2種類あり、転職の壁を乗り越えるポータブルスキルと、定年の壁を乗り越えるポータブルスキルは異なると言いました。

 

今回の勉強会を終えた後、私が考えたいと思ったテーマは、定年の壁を乗り越えるのに必要なものは何かでした。このテーマについて考えたいと思ったのは、スキルの問題ではない気がしたからです。

 

転職の壁と定年の壁

定年を迎えた人にとっての壁は、定年という定義からして、スキルとは関係なく会社からの需要がなくなる、もしくは極端に少なくなるという事実です。ですから、田中先生の言うように、転職の壁を乗り越えるポータブルスキルとは別の何かが必要なことは間違いありません。

 

会社という他者からの需要がなくなる中で働き続けるのに必要なもの。それは、スキルではなくマインドだというのが、私がたどりついた答えです。会社組織の中で与えられた仕事を行うのではなく、誰に言われなくても自分がやりたいことを仕事として作り出すマインドが、定年の壁を乗り越える原動力になるのだと思います。

 

定年の壁を超えるスキルとマインド

自分がやりたいことを仕事として作り出すマインドと言えば、孫子女子勉強会ではすっかりおなじみのBモードのことではないですか。とすとると、定年の壁を乗り越えられるのは、ポータブルスキルをもったBモードの人ということに行き着きます。

 

ジョナサン・スウィフトの名言の矛盾を解く

 

「老人とは、今がHAPPYだけど明日は不安な人です。長生きしても明日がHAPPYなら老人にはならないのです」

 

勉強会の最後に田中先生はこう言って、ジョナサン・スウィフトの名言の矛盾を鮮やかに解いてみせました。

 

明日がHAPPYとは、明日も自分がやりたいことがあると言い換えられます。明日も自分がやりたいことがあるのはBモードで生きる人そのものです。つまり、

Bモードで生きる人は長生きしても老人にはならない」になります。

 

孫子女子勉強会では色々なテーマで学んできましたが、総じて言えば、Bモードで生きることを学んできたとも言えます。おかげで、勉強会仲間はBモードで生きる人ばかりです。

 

ここから導かれる結論は、

孫子女子メンバーは長生きしても老人にはならない」

です!