2ヶ月も経ってしまいましたが、書いてよかったと思います。2022年7月の孫子女子勉強会は記録に残しておきたい内容でしたから。
勝利する条件
この日は、勉強会にしては珍しく、孫子の兵法の一節をとりあげることから始まりました。
算多きは勝ち、算少きは勝てず
勝利する条件が整っていれば勝ち、条件が整っていなければ勝てないの意です。
勝利する条件が整っていればというのは、運任せの話ではなく、勝利する条件を整えたかという行動の話です。つまり、戦いが始まってからの行動ではなく、戦う前の行動、すなわち準備によって勝負は決まっていると孫子は説いています。
準備するとはどういうことかについて、田中先生はこんな例えで解説してくれました。
「昔からの夢だったからと、脱サラして借金して喫茶店を始める。こういうのはダメです。
会社員時代に喫茶店のメニュー案を作成し、そのメニューであればお客さんとしてきてくれるかを調査しておく。会社を辞める前に準備をしておくんです」
この例で言うと、脱サラ前の準備の有無で、喫茶店経営の成否が決まるということです。
投資と回収
準備するステップは、製造業では当たり前のものとして行われていると田中先生は言います。
まずは設備を購入し、購入した設備で製品を製造します。製品があって初めて、顧客は得られる価値を認知することができます。ここまでは準備であり、ビジネスを行うためには不可欠な投資です。この準備なくして、製品販売による売上を得ることはできません。
サービス業も投資なくして回収なしですが、設備や製品という有形物がないだけに、投資の概念はわかりづらくなります。
サービス業の場合は、無料でのサービス提供が投資に相当します。無料サービスによって顧客に価値を認知してもらって初めて、有料でのサービス提供というビジネスを始めることができます。
田中先生自身もサービス業を生業とされていますが、「無料と有料の組み合わせ方は難しい」と言います。無形なサービスの場合は、認知してもらうための無料のサービスとはいかなるものかについて、一概にこれだと決まらない難しさがあるのだと思います。
人生100年時代に働き続ける準備とは
人生100年時代になると、定年を迎えた後も働き続ける人が多くなるでしょう。投資と回収の考え方は、人生100年時代に働き続ける準備への示唆を与えてくれます。
会社という枠組みがなくなった働き方は、サービス業と同じです。ならば、サービス業の投資と回収の考え方に習って、退社するまでに無料のサービスを提供して認知を獲得すればよい。果たしてそうでしょうか?
会社組織を離れてサービス提供するには、新たな知識とスキルを身につける必要があります。知識とスキルがあれば準備は十分でしょうか?
定年後の生活、つまり円熟期で大事なことは何かについては、6月の勉強会で学びました。それは、個人としての幸せでした。
円熟期の働きで回収すべきは、売上のみならず個人の幸せです。ならば、準備すべきはサービス案であり、それが自分のB動機であるかの確認です。
定年後も働き続けなければと義務感から準備したサービスでは、回収できるのは売上だけです。個人としての幸せを回収できなければ、人生に勝利したとは言えません。
人生100年時代に働き続ける準備は、個人の幸せ、すなわちB動機と切り離しては考えられません。
私たちは孫子女子勉強会でB動機について学んでいます。ここで、いつもの結論になるわけです。つまり、孫子女子勉強会での学びが、人生100年時代に働き続ける準備のひとつであるということです。