幸せに生き残るための孫子女子勉強会

2023年10月の孫子女子勉強会の内容は、ブログをスキップするにはあまりにももったいない内容でした。なので、忘却の彼方になりつつある内容をなんとか思い出しつつ書きました。

 

 

音楽の神様ジョージ・マーチン

この日の勉強会は、ジョージ・マーチンという聞き慣れない名前の人物のお話から始まりました。ジョージ・マーチンは音楽会の神様とも5人目のビートルズとも呼ばれる知る人ぞ知る人物です。軍人を辞めた後にEMIに入社し、新人担当としてデモテープをチェックする日々を送りました。

 

当時、音楽デビューに向けたオーディションに落ちまくっていたビートルズのテープを聞いたジョージ・マーチンは、ビートルズの才能を見出し、マネージャー兼プロデューサーとしてビートルズをデビューに導きました。

 

ジョージ・マーチンはジェフ・ベックのプロデュースも行った人物で、色々なミュージシャンの才能を引き出した人物だと、ロック好きの田中先生は熱く語りました。

 

長寿社会の生き残りゲームをクリアする4つのチェックポイント

ジョージ・マーチンの話からどんな展開になるのかという期待は裏切られ、話題はガラリと変わりました。転換した話題は、人生の生き残りゲーム。

 

人の寿命が延びたことで、もはや60歳で定年して引退というのは現実的ではなくなりました。つまり、60歳を過ぎても働き続けることになるということです。しかしながら、70歳で元気に現役で仕事をしているのは奇跡に近いと田中先生は言います。

 

長寿社会で元気に仕事をする生き残りゲームには4つのチェックポイントがあるというのが田中先生の見立てです。

 

チェックポイントの1つ目は「健康」です。

健康を害してしまうと、働く能力があっても、働く意欲があっても、働き続けられません。第一の関門は経年劣化する身体とともに元気な状態をいかに維持するかです。

 

チェックポイントの2つ目は「知力」です。

とりわけ定年を過ぎてから仕事をするには、知的なネタが必要になります。

 

チェックポイントの3つ目は「魅力」です。

「知力」と「魅力」は似て非なるものです。「知力」は、どういう知力であるかという分析が可能であり、こうやれば身につけられるというやり方があります。一方で、「魅力」は分析不可能です。ある人に魅力があるかどうかは判断できるけれども、どういう魅力かは分析不可能です。どうすればその魅力が身つけられるかもわかりません。

 

最後のチェックポイントは「顧客」です。

会社員であってもいわゆる定年を過ぎると雇用継続の壁は高くなります。70歳になっても自分にお金を払ってくれる顧客を見つけるのは至難の技です。

 

これら4つのチェックポイントを全クリアして初めて、70歳でも活き活きと働くことができるというわけです。どのチェックポイントも簡単にクリアできるものではない上に、4つの全クリアとなると、70歳で元気に現役仕事が奇跡というのもうなづけます。

 

長寿社会での生き残りゲームは非常にシビアであると言わざるを得ません。

 

人生の生き残りゲーム

ここで、この日の「孫子の兵法」の一節が紹介されました。

兵は国の大事にして、死生の地、存亡の道なり。察せざるべからず。

 

勉強会でも何度か紹介された一節です。戦争は一大事であり、事前に入念な検討が必要であると孫子は説きました。

 

田中先生は、人生におきかえても同じだと言います。人生のゲームで生き残ることも一大事であり、事前の検討が必要であるという点において。

 

さらに、会社員としての生き残りゲームと会社員卒業後の生き残りゲームの違いにについて、田中先生の鋭い洞察が続きます。

会社員としての生き残りゲーム: 限られた椅子の取り合い

会社員卒業後の生き残りゲーム: みんなで生き残ることが可能

 

会社員時代と会社員卒業後では、生き残りゲームのルールが変わるのです。ルールが変わる会社員卒業後の世界で生き残るためには、生き残るための友達を増やすことが重要であるという田中先生の持論が続きます。

 

さらに、田中先生はこんな仮説を持ったそうです。

健康寿命が長い集団と健康寿命が短い集団があるのではないか?」

 

そこから導き出した問いが

「自分が健康寿命が長い集団に属するためには、どんな友達をつくればよいか?」

だそうです。

 

益者三友、損者三友

友達の重要性に意識が向いたところで紹介されたのが、論語にある「益者三友、損者三友」でした。

 

直きを友とし、諒を友とし、多聞を友とするは、益なり。

便辟を友とし、善柔を友とし、便佞を友とするは、損なり」

 

この意味するところは、こうです。

益者、すなわち良き友とは、素直・誠実・博識の人。

損者、すなわち悪しき友とは、媚びへつらい・不誠実・口先だけの人。

 

言われてみれば当たり前のことです。こんな当たり前のことが2000年も残り続けているのはおかしいと思った田中先生は、「益者三友、損者三友」意味を深読みしていったそうです。

 

益者と損者は表裏の関係にありますが、人間はそうきれいに益者と損者に分けられるものだろうか。一人の人間の中に益者の部分も損者の部分もあるのではないか。

 

そう考えた田中先生は、「益者三友、損者三友」の意味をこう捉えたと言います。

「益者」とは、自分の素直・誠実・博識を引き出してくれる人。
「損者」とは、自分の敵愾心・自己弁護・ストレスを引き出す人。

 

つまり、ある人物が絶対的に「益者」であるか「損者」であるかではなく、自分との関係において「益者」であるか「損者」であるかに分かれるということです。

 

そう言われると、田中先生の解釈の方がしっくりきますよね。いやあ、2000年も語り継がれてきた「益者三友、損者三友」の解釈にさえ疑いの目を向けて、独自解釈に書き換えてしまう田中先生、恐るべしです。

 

勉強会の冒頭で紹介されたジョージ・マーチンの話がここでつながります。ビートルズジェフ・ベックもジョージ・マーチンという益者に出会ったからこそ成功したのだと。

 

長寿社会で生き残る鍵

ここまでくると、田中先生が立てた問い「自分が健康寿命が長い集団に属するためには、どんな友達をつくればよいか?」に対する答えも自ずと見えてきます。そうです。自分にとっての「益者」となる友達をつくればよいのです。

 

「益者」となる友人と長寿社会での生き残りゲームの関係について、もう少し掘り下げてみましょう。

 

まずは、田中先生が立てた問いから、「健康」と関係することがわかります。「益者」となる友人がいることで、1つ目のチェックポイントである「健康」を維持できる可能性が高まります。

 

「益者」の田中流解釈により、益者は「知力」と「魅力」にも深く関係していることがわかります。「益者」となる友人がいることで、2つ目のチェックポイントである「知力」と3つ目のチェックポイントである「魅力」を引き出してもらえます。

 

友人から「知力」や「魅力」が引き出されるというのは少し奇妙に聞こえるかもしれませんが、孫子女子勉強会メンバーならそれを実感していることでしょう。学ぶ仲間の存在によって知的好奇心が活性化され、自然と知力が増すのです。

 

孫子女子勉強会では生き残りをかけて必死の形相で学んでいるのではなく、Bモードで学んでいます。楽しみながら知力を増している人は、自ずとその人の魅力も増すでしょう。

 

すなわち、「益者」は4つのうちの3つのチェックポイントを高めてくれるのです。残る1つのチェックポイントである「顧客」ばかりは、自分でなんとかするしかありません。

 

ただし、「顧客」を見つけるために必要なのは、「知力」と「魅力」です。だとすれば、間接的にはやはり「益者」が関係しているのです。

 

図で表すとこうなります。

 

益者と4つのチェックポイント

 

つまり、4つのチェックポイントを全クリアするために、4つのことに意識を向ける必要はないのです。長寿社会で生き残る鍵はただひとつ、「益者」となる友人がいればよいのです。

 

なあんだ、そんな簡単なことかと思うなかれ。益者となる友人を見つけることも決してたやすくはありません。相手から一方的に何かを受け取るだけの関係では友人にはなり得ません。つまり、相手から椅子を奪い取る椅子とりゲームのマインドをもったままでは、益者以前に友人を見つけること自体に困難があるのです。

 

そして、椅子とりゲームのマインドは、長い間の会社員生活で骨の髄まで身に染みついています。そのマインドチェンジは、会社員を卒業すればすぐにできるほどに簡単なことではありません。

 

長寿社会で生き残る鍵は「益者」となる友人を見つけることだとわかりました。やるべきことがわかったのに、マインドチェンジができずに生き残れないとは。。。なんて人間は複雑な生き物なんでしょう。

 

幸せに生き残るための孫子女子勉強会

この日、リアルで勉強会に参加したメンバーは、いつもより30分早く勉強会を切り上げて、とある場所へと向かいました。向かった先は、閉店時間が早めのドイツ料理店。いつもの懇親会の店とは趣向を変えて、ドイツ料理を食べようという話になり、さっさと勉強会を切り上げたというわけです。

 

 

いつもとは違う飲み物、いつもとは違う料理を前に話もはずみ、幸せな時間を過ごしました。ああ、この日も楽しい勉強会だったなあと思い出しながら、このブログを書き始めたところで、孫子女子勉強会のまたまた新たなる偉大な一面を発見することになったのです。

 

孫子女子メンバーの大多数は会社員として働いています。会社という組織の中で負けずに生き残るために「孫子の兵法」を学んでいるつもりでした。

 

でも、実際には、私達が10年という長い歳月をかけて学んできたのは、組織の中での椅子とりゲームのマインドから、みんなで幸せに生き残るマインドへと転換することでした。

 

孫子女子勉強会の偉大さはこれだけにとどまりません。

 

素直になれる場

この日の勉強会もリアルとオンライのハイブリッドで行われました。リアル参加した私達以外にも画面の向こうに参加者はいました。それにも関わらず、主宰者である田中先生を含むリアル参加組は「勉強会から早退します」宣言とともに、いそいそとドイツ料理店へと向かったのです。

 

それに対して、オンライン参加組は嫌な顔ひとつせず、笑顔で見送ってくれました。そうなることが予想できたからこそ、早退宣言を素直に言い出せたわけです。

 

つまり、孫子女子勉強会は忖度せずに素直になれる場なのです。

 

知的好奇心を引き出される場

孫子女子勉強会が知的好奇心を引き出される場であることに説明は不要でしょう。博識が引き出されるのは知的好奇心なくしてはあり得ません。

 

現実に誠実に向き合う場

孫子女子勉強会では、「孫子の兵法」の一節をとりあげてその解釈について学んでいるわけではありません。身近にある現実に目を向けて、それに向き合う指針として「孫子の兵法」を学んでいます。その現実がたとえ自分にとって不都合なことであっても、誠実に向き合う姿勢を勉強会で学びました。

 

ここまで書けばもうお気づきかと思います。そうです、孫子女子勉強会という場が益者だったのです。私達は孫子女子勉強会で長寿社会になっても幸せに生き残る術を身につけていたのです。さすれば、10年という長い歳月をかけてもお釣りがくるほどに価値ある場と言えるのではないでしょうか。

 

孫子女子勉強会で笑いがおこらない回はありません。笑うことによって、健康寿命(チェックポイント①)は確実に延びたことでしょう。

 

ことあるごとに、「孫子の兵法でいうところの◯◯ですね」と言えるくらいには知力(チェックポイント②)が増しました。

 

チェックポイント③の魅力増しについては、

今後に乞うご期待として、これからも勉強会に参加し続けようと思います(にっこり)