真のBモードとは?

20233月の孫子女子勉強会では、何年も信じ続けてきたBモードの定義がアップデートされました。もしこの回を欠席していたら、どれほど無念だったことでしょう。

 

 

ものの見方の違い

この日の勉強会は、こんなスライドから始まりました。

 



「彼を知り己を知れば、百戦うからず」は、この勉強会でも何度も取り上げられた「孫子の兵法」の有名な一節です。

 

何度も取り上げられたからといって、何度も同じ話が繰り返されたわけではありません。同じ一節から、毎回に異なる様々な現代的解釈が提示されてきました。この日の勉強会では、この一節にまた新たな現代的解釈が加わりました。

 

田中先生の話は、その解釈にたどりつくまでが長い(笑)。けれども、それが孫子女子勉強会の面白さでもあります。

 

スライドに映し出されたコップに入った水の見方から、勉強会は始まりました。コップに入った水の見方は2種類あると田中先生は言います。

 

「入っているもの」と「足りないもの」

 

入っている水に目を向けて「入っているもの」を見る人。コップの空きに目を向けて「足りないもの」を見る人。同じものを見ても、見方によって見えるものが異なる例としてよく聞く話です。

 

コップに入った水と同じように、目の前にある課題に対しての見方も2種類あるといいます。

 

「できること」と「できないこと」

 

自分に何ができるかを見る人と、自分にはできないことを見る人。

 

田中先生は続けます。

どちらを見るかにその人の個性が表れます

 

うんうん、ものの見方はその人の個性そのものだと、常日頃より感じています。

 

Bモードの誤解

人のものの見方には違いがあることが示された後に出てきたのが「BモードとDモード」です。

 

こちらも孫子女子勉強会では繰り返し出てきたテーマです。あらためておさらいすると、Bモードは、「◯◯がしたい動機で動くモード」であり、Dモードは「不足を埋める動機で動くモード」です。

 

やりたいことのために入っているものに目を向けるBモード。足りないものに目を向けるDモード。BモードとDモードをものの見方になぞらえると、こうなると思いますよね。おそらく、誰もがそう思っていたはずです。

 

田中先生も少し前まではBモードをそう捉えていたようですが、実はそれは誤解であると言います。

 

Bモードの誤解

 

えええっ。違うんですかー?その先を知りたいと急ぐ気持ちをよそに、ひとまず別の話題へと展開します。

 

自己認識の甘さが生まれる構造

次なる話題は、孫子女子勉強会では初登場キーワードの「自己認識」。「自己認識」は「己を知る」とも言いかえられるので、意味合い的には初登場というわけではありませんが、「自己認識」というワードは、この日が勉強会デビューとなりました。今後は、何度も登場することになりそうな予感がします。

 

田中先生はこう解説しました。

自己認識の正確さが成長のポイントになります。頭がいいというのは自己認識ができると言い換えられます」

 

「自己認識の正確さがポイントです」とくれば、次に続くのは何でしょうか?

 

普通は、「どうすれば正確な自己認識ができるようになるか?」を期待しませんか?

 

孫子女子勉強会が面白いのはここからです。「どうすれば正確な自己認識ができるようになるか?」なんていう野暮な話は1mmも出てきません。

 

次に続くのは「自己認識の甘さが生まれるのはなぜか?」です。

 

田中先生は、自己認識の甘さが生まれる2つの構造を指摘しました。

 

1つ目は、情報発信の広がりに起因するものです。

 

自己認識の甘さが生まれる構造その1

 

デジタル化が進み、誰でも簡単に情報発信ができるようになりました。承認欲求を満たすための情報発信を行い、デジタルの世界で承認欲求を充足できるようになりました。その結果、正しい自己認識ができなくなり、自己認識の甘さが生まれることになります。

 

2つ目は、評価の他者依存に起因するものです。

 

自己認識の甘さが生まれる構造その2

 

目標管理制度が導入されて以降、会社では評価を上司に委ねることになりました。上司からの評価は、往々にして現実よりも盛った評価がされがちです。なぜなら、評価者である上司もまた、その上司から評価される立場にあり、部下に低い評価をつけることは、すなわち自分の評価が低くなることを意味するからです。

 

こうして、会社の中で評価を上司に委ね続けた結果、自己認識をする機会が奪われ、自己認識の甘さが生まれます。

 

この日、大笑いとともに私達の記憶に刻まれた田中先生の名言はこれでした。

社内評価は粉飾だらけ

 

真のBモードとは?

自己認識についての理解を深めた後で、いよいよ真のBモードに迫ります。

 

田中先生は言います。

足りないものと入っているものの両方を見ることが正しい自己認識です。真のBモードは、肯定と否定の両方を自分の中にもち、アクセルとブレーキのどちらも踏むことです」

 

あー、確かに!入っているものだけに目を向けることは自己認識の甘さと同じ危うさがあり、それだけではBモードと言えないのも納得です。

 

真のBモード

 

真のBモードが正しい自己認識であるならば、Dモードは何であるかについても田中先生から解説がありました。それは、他人との比較で自分の不足を見ることです。

 

先に見たように、世の中には、自己認識の甘さが生まれる構造があります。ですから、正しく自己認識をすることは決してたやすいことではありません。真のBモードでいることは、かように難しいのです。

 

それにしても、何年も信じ続けてきたBモードの定義が、まさかここにきて覆されることになろうとは。。。

 

真のBモードを知ることになった今回の勉強会。出席できてよかったなあ。

 

いやいや、目を向けるべきはそこだけじゃない。「Bモードとは・・・」を何年も言い続けてきた田中先生が、Bモードの定義をアップデートしていく姿勢をこそ見習わなければ。概念自体をもアップデートしていく田中先生の姿勢から学び続けることの大切さを教わりました

 

というわけで、新年度も変わらず孫子女子勉強会で学び続けたいと思えた回でもありました。