未知との遭遇を楽しんでいますか?

10月の孫子女子勉強会は、田中先生の新刊制作に学ぶ回でした。先生のお話から、Bモードで生きているかを確かめるたった一つの問いを見つけました。

 

 

田中先生の新刊制作に寄せて

12月に発売される田中先生の新刊のタイトルは、

「お金にふりまわされず生きようぜ!レストランたてなおし大作戦」

タイトルからもご想像がつく通り、新刊のジャンルは児童書です。

 

  • お金の稼ぎ方
  • お金の使い方
  • お金とのつきあいかた

子どもに向けて、3つの視点からお金に関して書かれた本とのことで、大人でも興味をそそられるテーマです。

 

この日の勉強会で語られたのは、新刊の内容についてではなく、本の制作プロセスについてでした。

 

「児童書はビジネス書とは制作プロセスが違うんです。本の制作に関わるイラストレーター、デザイナー、校正の人と一緒に仕事をして、今までになかった文化や視点にふれることができました」

 

これまで何冊ものビジネス書を書いてきた田中先生の興奮気味に語る様子から、児童書制作の文化に触れて、面白くてたまらない様子が伝わってきました。

 

田中先生の面白がる様子に加えて、なかなか表に出ることのない制作の舞台裏を垣間見れるとあって、話を聞く私たちの気持ちもついつい前のめりになります。

 

見えていなかった世界を知る

児童書の校正では、平仮名にするか、漢字にするか、漢字にルビをふるかについても、指摘がなされるそうです。校正の担当者からの指摘の表現はこんな風なのだそうです。

 

この「◯◯」は、開きますか?

これは、「◯◯という言葉を平仮名にしますか」という意味だそうです。反対に、漢字にするときは、閉じるの表現を使うそうです。

 

「自分が見て、考えているものが世界だと思ってしまうんですよね。見えていなかった世界を知るのが愉しいんです」

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見えていなかった世界を知る

 

田中先生は、児童書の世界を知って、これまで見えていなかった世界を知ったそうです。自分には見えていなかった世界を知ることで、自分の世界を広げたのです。

 

 

己のクセを知る

児童書の制作で、田中先生は、自らのクセにも気づいたと言います。

 

孫子の兵法に『敵を知り、己を知れば、百戦うからず』とありますが、己を知るのは難しい。自分のものの見方や解釈の仕方にはクセがありますが、それはなかなか自分ではわかりません。自分の修正点の見つけ方と他者の修正点を見比べて、自分のクセに気づきました。

 

私は、文章を脳に響くメロディーとして意識しています。ですから、音のいい文章かどうかが気になるんです」

 

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己のクセを知る

 

同じものを見ても、アウトプットは人それぞれに違います。それは、注目して見るものの違いであり、その解釈の違いから生じます。

 

アウトプットには、人それぞれに共通的な傾向がありますが、自分の傾向にはなかなか気づけません。田中先生は、他者の修正点を写し鏡にして、文章を見る自分のクセに気づいたのです。

 

未知との遭遇での分かれ道

校正担当者から次々に送られてくる校正原稿を見て、新たな世界を知り、己のクセを知る愉しみを見出す田中先生ですが、同じ状況で落ち込む人もいるだろうことにも思いを馳せていました。

 

「そこにできない自分を発見してしまうんでしょうね」

 

私がこの勉強会でもっとも興味を掻き立てられたのは、知らない世界に触れた時、つまり、「未知なるものに遭遇した時に、愉しみを見出す人と落ち込む人の違いはどこから生じるのか?」でした。

 

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未知との遭遇での分かれ道

 

知らない世界のことですから、知識がなくて知らないことだらけ、経験がなくて間違えることだらけ、という現象は誰にも等しく起こりえます。それに対して、田中先生のように「学びの機会」と捉える人と、「できない自分の発見」に意識を向ける人に分かれます。

 

未知なるものとの遭遇を「学びの機会」と捉える人は、学びの愉しさを知っていて、学びたい欲求がある人です。一方で、「できない自分を発見」する人は、知っているべき、間違えてはいけないという常識の鎖につながれている人です。

 

あー、そうか。未知なるものに遭遇した時に、愉しみを見出す人と落ち込む人の違いは、つまりは、Bモードで生きる人かDモードで生きる人かの違いです。

 

Bモードで生きているかを確かめるたった一つの問い

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BモードとDモードの未知との遭遇

 

Bモードで生きる人は、未知との遭遇を学びの機会と捉え、学びたい欲求に従って世界を広げていきます。

 

Dモードで生きる人は、未知なるものとの遭遇で、できない自分を発見し、知っているべき、間違えないことの鎖につながれて、自分の世界に留まります。

 

大人になって知っていることは増えましたが、世界はどこまでも広く、自分が知っていることは世界のほんの一部に過ぎません。ですから、何歳になっても世界を広げる学びに終わりはありません。それにブレーキをかけてしまうのがDモードです。

 

Bモードで生きているかを確かめたくなったら、自分にこう問いかけようと思います。

未知との遭遇を楽しんでいますか?」