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人生90年時代を幸せに生きるには

生き方 考え方

 

久しぶりに参加した女子のための「孫子の兵法」勉強会。ルノアールの貸会議室に参加者が入ってくるたびに、ドアを開けた方も先に座って迎える方も笑顔になり、そのたびに会議室が明るくなりました。

 

今回のテーマは「人生90年時代の生き方」。今回の孫子の兵法からの一節は、「戦いは正を以て合し、奇を以て勝つ」と「勢に求めて人を責めず」でした。

 

「合格/不合格」と「幸せ/不幸せ」

「皆さん、こう思ってませんか?」勉強会講師の田中先生はこう問いかけました。

合格 ≒ 幸せ

不合格 ≒ 不幸せ

 

折しも世間は受験シーズン真っ盛り。点数で言えばわずか1点の違いでも、明確に線引きされる結果の合格か不合格かの違いは大きい。合格すればこれで明るい未来が開けると狂喜乱舞し、不合格であればこれから先に希望はないと決まってしまったかのように落ち込むなんてこともあります。言ってみれば、合格したら幸せになれて、不合格になったら不幸せになると思っているようなものです。

 

田中先生がこのような問いかけをしたのには理由がありました。先日、20年近く前に先生が教えた生徒達と一緒に飲んで、懐かしい思い出話に花を咲かせたそうです。その生徒さん達は、今、それぞれの道で活き活きと仕事をしているそうです。ですが、実は、その生徒さん達、先生が教えていた当時に目指していた資格試験の不合格組だったそうです。

 

もうひとつ、田中先生から合格/不合格にまつわる話題が提供されました。この冬休みに中学校、高校、大学と同窓会があったそうです。中学校の同級生の多くは地元でそれぞれに家業をついだりと小さな商売をやっている人が多く、定年もなく人生の後半の勢いを感じたと田中先生は言いました。それぞれが幸せそうであり、3つの同窓会のうちで一番面白かったと話した時の田中先生は、心底楽しそうに笑っていました。一方で、大学の同窓会では、皆、世間一般でいうところの成功的な地位についているものの、社内出世が興味の中心で、生き方の幅がせまいと感じたと言いました。

 

合格、不合格、幸せ、不幸せの4つの単語をホワイトボードに書きながら、「合格したからそれで幸せになれるというものではない。不合格になっても幸せな人生を送ることもある」と田中先生は言いました。資格試験や大学受験の合否は人生の運命が決まるかのように思えたりするものですが、合否の結果とその後の人生が幸せか否かは対応していないことを表すのに十分な事例が示されて、勉強会参加者は全員、先生の言葉に大きく深くうなずきました。

 

貯金と貯人

この日の勉強会のもうひとつのテーマが「貯金とは何か?」でした。貯金とは将来のために今を我慢してお金を貯めることというのが一般的な解釈です。田中先生は、お金を貯めようとすると視野狭窄になることに気づいたそうです。将来のためと言いながら、視野狭窄になってしまうのでは将来のためにならないのではないかという疑問が、貯金とは何かについて考えるきっかけを田中先生に与えたようです。

 

ここで田中先生は2つの事例を提示しました。

 

1つ目の事例は、とある地方での朝市でのできごと。おばあさん達が集まって野菜市を開き、その地で採れたの野菜を売っていたそうです。そこで売っているものを全部買い占めできそうなくらいの値段をつけて。田中先生がおばあさんに「これで儲かるの?」と聞いたところ、「儲けるために売ってるんじゃないよ」とにこやかな笑顔で答えが返ってきたそうです。それを聞いた田中先生は、野菜を買い占めて買い物客と会話する楽しみをおばあさんから奪ってはダメだと、少しだけ野菜を買ってその場を去ったそうです。

 

初対面のおばあさんに「これで儲かるの?」と直球の言葉を投げかけ、返ってきた返答から瞬時におばあさんの楽しみを理解し、おばあさんの楽しみを奪わなかったところに田中先生のすごさが表れています。

 

2つ目の事例は、田中先生のお友達のコラボの達人カメラマンのお話。お友達のカメラマンは、着付け教室、葬儀屋さん、ヨガ教室など、次々と異業種とコラボしながら写真撮影の新しいシーンや価値を生み出していることを紹介してくれました。

 

ここで、いよいよ現在社会でおきた事例と孫子の兵法の一節が結びつきます。

戦いは正を以て合し、奇を以て勝つ

→奇襲が大事(異種とのコラボは奇襲になる)

 

勢に求めて人に責めず

→勢いが出るのはサプライズがある時、つまり奇襲の時

 

要するに、誰かと一緒に何かをやっていくことが勢につながる。人生90年時代になると定年後の人生も長い。定年後に備えて貯めるべきは、お金ではなく人間関係。それも一緒に何かをやってお金を稼げる友人。100万の貯金より一緒に100万稼げる友人の方が大事なんじゃないかというのが、この日の勉強会の問題提起でした。

 

これは結論ではありません。この勉強会では問題提起はされても結論は出しません。参加者それぞれが、提起された問題に自分自身で答えを出していく。だからこそ創造的な場なのです。

 

誰の評価軸で生きるか

この勉強会での問題提起を受けて、人生90年時代に幸せに生きるために私が見出した視点は「誰の評価軸で生きるか」でした。合格か不合格かを決めるのは自分ではありません。けれども、幸せか不幸せかを決めるのは自分です。他者の評価軸で決まる合否と自分の人生を関係づけるのは、他者の評価軸で生きることを意味します。自分の人生を他者にゆだねることは、常に他者の目を気にして、どういう評価がされるのかと戦々恐々とすることでしょう。

 

未来に投資する貯金をお金で考えることも他者の評価軸で生きることです。なぜなら、お金に換算する価値を決めているのは自分ではないからです。一緒に何かをできる友人を決めるのは自分です。お金と友人の対比では、もうひとつ決定的な違いがあります。お金は使えば減っていきますが、友人とは関わりをもっても関係が深まることはあっても薄まることはありません。さらに、友人が友人を紹介してくれて増えていくことさえあります。

 

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女性が幸せに生きられる時代?

何ごとも一括りにはできませんが、人とのコラボは女性の方が進みやすい気がします。男性はまず自分と相手の位置関係を把握しようとするらしいのですが、女性は初めて会った人でもそのバックグラウンドは気にせずに会話を始めてしまいます。そもそも、この女性だけの勉強会が始まったきっかけも、田中先生が女性限定のイベントで講師をつとめた際、イベントが始まる前に一瞬にして参加者がうちとけて話している様子に衝撃を受けたことに由来します。勉強会でもたびたび、人の関係が、ピラミッド型からネットワーク型に変化してきているという話題が出ます。

 

また、概して女性(女性的な思考の人と言った方が適切かもしれません)の方が自分の評価軸で生きている人が多い気がします。だから、眼前の損得でなく、自分が楽しいかどうかで選択しているように思います。

 

勉強会が終わった後のいつもの懇親会に、勉強会には参加できなかったけれど懇親会から参加してくれた仲間がいました。この勉強会に参加すると、いつも参加者に勢いを感じます。女性は奇襲が得意だとも感じます。人生90年時代は女性が幸せに生きられる時代なのかもしれません。

 

この日はとりわけ寒い日でした。懇親会が終わって外に出ると、身体の芯まで突き抜けそうな冷たい風が吹いていました。けれども、凍てつく空気がむしろ気持ちいいと感じるくらいに私たちの気持ちは熱くなっていました。人生90年時代、誰かの評価軸で生きたりしない、自分の人生のリーダーシップは自分で握ると誰もが思っていたに違いありません。

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