「飲み会がない今こそ『大人の学び』を考える」と題して、平日夜21:00から行われたハフライブの生配信。ロンドンブーツ1号2号の田村さん、立教大学経営学部の中原先生、株式会社arca CEOの辻さんの3人の絶妙に絡み合ったトークの中に、大人の学びの大事な要素が凝縮されていました。
在宅勤務で「大人の学び」に注目
「大人の学び」のテーマが設定された背景にさほどの説明は必要ないでしょう。在宅勤務で、夜や週末の自宅滞在時間が増えた大人が大勢います。そこへきて、オンラインでしかも無料のセミナーがこれでもかと開催されています。時間的余裕と無料のオンラインコンテツ、大人が学ぶ条件はバッチリというわけです。
大人の学びとは?
大人の学びには何が役に立つのか、どんなコンテンツがいいのかという安易な方向に話が流れず、そもそも大人の学びとは何かを語るのは、さすが中原先生です。
「大人の学びは、勉強して知識を増やすことや資格を得ることではありません。
大人の学びは、世の中の変化に合わせて自分が変わること、自分の周りにあることを変えていくことです」
変化こそが大人の学びの本質と気持ちいいくらいに端的に表現してくれます。
どこで学ぶ?
学ぶと言えば直線的に思いつく場所が学校です。
中原先生が
「学校の特徴は実験を許される場所なんです」
と言うと、大学院に通っている学生でもあるロンブー田村さんが
「教授のすごいところは失敗のデータを沢山もっていること」
と実感をこめて言います。
さらに、辻さんが
「それを聞いて思い出したんですけど、数限りない失敗の果てに人工衛星をつくった北海道の小さな町工場にNASAが失敗のデータをほしいと言ってきたそうです」
と、失敗がいかに貴重なデータかの事例を紹介します。
こんな風に、各ゲストがもつ経験や知識から提供された話題でひとつのテーマがどんどん肉付けされて、目の前で立体的に意味が広がっていく面白さがありました。
ロンブー田村さんは、大学院の楽しさをとにかく面白い研究をしている仲間がたくさんいることだと言います。
すかさず中原先生が、大学院の学びに影響を与える要因を解説してくれます。
70% 一緒に学ぶ人
20% 教材
10% 先生
先生の影響力は一番低くてたった10%しかありません。失敗が許される場所としての学校の魅力は大きいものの、教えてくれる先生がいる学校という意味はそれほど大きくなさそうです。
何を学ぶ?
「学びはフレキシブルでよくて、大人の学びは好奇心にしたがえばいい。大人はとかく学びの中身に優劣をつけたがるけれど、好奇心のおもむくままに刺激のある場所に身をおけば自然に変われる」
と、ゲストの中で一番若い辻さんがスパっと言い切ります。
大人の学びを考える
「大人の学びの本質は変わること」と「好奇心のおもむくままに刺激のある場所に身をおくと自然に変われる」をつなげると、大人の学びが見えてきます。
「大人の学びは好奇心のおもむくままに刺激のある場所に身をおくこと」
何を学ぶかは、これくらい幅広く考えていいのだとわかります。時間があるからと、あれもこれもとオンラインセミナーを受けることが大人の学びではないことに気づきます。
さらに、重要なことは、大人の学びに最も影響を与えるのが誰と学ぶかであることです。知識を受け取ることは、オンラインになって物理的な場所の制約を超えやすくなりました。が、いい仲間と学べる場を見つけることはオンラインになって、より難しくなったかもしれません。
時間もあってオンライン上のコンテンツも増えて、学べる機会は増えました。そのことで、学びにおいて人間的な側面の重要さが浮き彫りになったことは大変興味深いことです。オンラインを中心にこれからも増え続けるであろう学びの場を選ぶ時には、どんなコンテンツかよりも、どんなコミュニティかに目を向けようと思います。