センスの正体

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イデアソン、ハッカソン、メイカソンなど、言葉や写真だけではなかなか伝わりにくいイベントの記録動画の作成を撮影から編集までを一貫して行ってきました。

 

3月4日に伊予銀行本店で開催された「いよぎんアイデアソンChallenge2017」には、参加者として参加しました。そのため、初のチャレンジとして、撮影は他の方にお願いして、編集のみ担当するという分業制で動画を作成しました。何を撮影すればよいかを教えてほしいというリクエストには、以前に書いた動画制作に関するブログでお応えしました。

 

編集作業のスタートは、いつものように撮影した動画を一通り確認することから始めました。確かにブログに書いたようなシーンが撮影されていましたが、何かが違うと感じました。違和感を感じたことを友人に話したら、「撮影にはセンスがいるからねえ」という反応が返ってきました。

 

センスの違いと片づけてしまうこともできたのですが、「センスって実際のところ何なの?」と勝手に頭が考え始めてしまったので、考えたことを書きとめておきます。

 

 

センスの違いとは何か

まずは、具体的な事例でセンスの違いを説明したいと思います。

私ならこんなシーンを撮影したと思うけれど、今回は撮影されていなかったシーンとして挙げられるものが下記です。

(1)伊予銀行の建物

(2)紙に書き出すワークの際にペンが止まっている人物

(3)プレゼンターの話に聞き入る人のアップの表情

(4)プレゼンターが話し終わった後の拍手のシーン

 

私が自分で撮影を担当していたら、これらのシーンは撮影していたはずです。なぜなら、何度か動画作成を繰り返すうちに、これらのシーンがイベント記録動画に有効だというノウハウがたまっていたからです。センスの違いとはノウハウの有無の違いとも言えます。

 

センスはどうやって身につけられるか

私も動画を作り始めたのは約1年半前からです。それまでは動画作成のノウハウは持っていませんでしたし、特にノウハウ集的なものを読んだりしたこともありませんでした。(1)~(4)のシーンを撮影した方がいいというノウハウが身についたのはなぜかと考えてみたら、「良い事例」と「実践」から学ぶことを繰り返したおかげだったと思います。

 

初めて動画を作成する前には、お手本となるような良い事例の動画を選んで、同様なイベントの記録動画をまず見ました。その中から、あるといいなと思ったシーンや、どれくらいアップで撮るといいのかや、単調にならないようにどんなアクセントをつければ良いのかなど、何を撮影すれば良いのかを感覚として理解しました。初めてトライする時に良い事例から学ぶことはとても重要だったと思います。

 

とにもかくにもまずは1回作ってみました。初めての編集は大変でしたが、学びが大きかったです。編集する時になって初めて、このシーンはいらなかった、このシーンを撮影しておけばよかった、このシーンはこんな風に撮影すればよかったということに気づかされ、気づきのオンパレードでした。撮り損なった撮影の失敗経験はノウハウに変換されて自分の中に残りました。その後も編集をする際には、編集と撮影についてのリフレクションが同時進行で行われて、撮影のノウハウが蓄積されていきました。

 

こういった経験を経て、(1)~(4)のシーンを撮影するセンスが身につき、そのシーンを撮影すべき理由も説明できるようになりました。

 

(1)伊予銀行の建物

イベントが行われた建物や入り口は動画のオープニングに使えます。今回は、自分が伊予銀行に着いた際にiPadで建物を撮影していたのでそれを使うことができました。

 

(2)紙に書き出すワークの際にペンが止まっている人物

紙に書き出すワークでは誰もがスラスラとペンが動くわけではありません。ちょっと考え込んでペンが止まっていることもあります。そういった様子も動画に含めると、ペンが動いている様子との緩急がついて面白みが出ます。ペンが止まっている人物を撮影する時も、どこかしら動いている部分はあるのでその部分を含めて撮影します。

 

(3)プレゼンターの話に聞き入る人のアップの表情

誰かがプレゼンをしているシーンは、聴衆の表情も撮影して、プレゼンターと聴衆の様子をつなげて編集するとプレゼンのシーンの臨場感が伝わります。聴衆の表情を撮影する時もうなづいている時やクスリと笑った時などの表情を撮影した方が場の雰囲気が伝わりやすくなります。

 

(4)プレゼンターが話し終わった後の拍手のシーン

プレゼンターが話をしている時は聴衆は静かに聴いています。一人だけが話しているシーンに対して、話し終わって大勢が拍手するシーンはアクセントになります。

 

センスの正体

先にも書いたように、撮影のノウハウについてはブログに書いていました。(1)~(4)のシーンについてはブログに書かなかったのではなくて書けなかったのです。どういうことかと言うと、具体的な事例に対して自分とはここが違うと言うことはできますが、自分がもっているありとあらゆる身体知を言語化することは不可能だったのです。

 

センスの正体は言語化しつくせないノウハウであるというのが私の結論です。

 

撮影に限らず、ノウハウをどんなにマニュアル化したところでセンスのある人と同じようにはいかないわけです。じゃあセンスがないと思っている人はどうすればよいのでしょうか?センスがないと嘆く前にやってみるに限るというのが答えです。実践すれば何かしら新しいノウハウがたまっていくものですから。ただし、やりっぱなしにするのではなく、リフレクションすることがノウハウをためる必要条件です。