動画制作から見えてきたこと

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必要にせまられてイベントの記録動画を何本か作りました。今また新しいイベントの動画を編集中です。動画の作り方を体系的に学ぶこともないまま、試行錯誤しながら我流で動画を作る中で見えてきたことがあります。

 

動画制作の知識

動画制作を体系的に学んだことはありませんが、その道のプロから基本となる知識を聞く機会には恵まれました。初めて自分で動画を制作をする前に私が持っていた知識は4つでした。

  

(1) 動画の8割はBGMで決まる

(2) テンポが大事

(3) 引きと寄りを組み合せる

(4) 場面の転換には風景をはさむ

 

(1) 動画の8割はBGMで決まる

この話は衝撃的でずっと心に残っていました。それから数年後に、自分で動画を作ることになった時、この話を真っ先に思い出しました。長調であれば明るい印象を、短調であれば暗い印象を与えるように、音の調べが全体の印象を決定づけます。そこにどんな映像を重ね合わせても旋律から受ける印象を超えることはできません。人間がいかに音楽に影響を受ける存在かは自分で作った時も実感しました。

(2) テンポが大事

動画には速いか遅いか2種類のテンポがあると聞きました。速いテンポの動画はBGMも速いテンポのものを選ぶと同時に1つのコマも短くしてテンポ良く切り替えます。遅いテンポの動画はBGMもゆったりしたテンポのものを選び、1つのコマも長めにとると良いそうです。すべての動画の要素をテンポに合わせて決めることが全体として調和のとれたものになるということのようです。

(3) 引きと寄りを組み合せる

引きと寄りは意識しておかないと、引きの映像ばかり撮ってしまったり、寄りの映像ばかり撮ってしまったりしがちです。が、これらをミックスするだけで、ずいぶんと素人っぽさが抜けます。実際、人間がものを見る時も引いたり寄ったりしながら見ているので、それに近い視点の動きにする意味があるのでしょう。

(4) 場面の転換には風景をはさむ

これは言われるまで自分では気がつきませんでしたが、映画などを見てみると実際にそうなっていることに気づきます。場面が変わる映像を連続的につなぎ合わせるよりは、風景を入れて場面転換を表した方がひっかかりなく鑑賞することができます。言い換えると作品として洗練された動画になります。

 

たった4つの知識ですが、これらの知識を使うだけで鑑賞に耐える動画になります。(2)と(3)は知識として知らなくても何度か作るうちに自分で発見できたかもしれませんが、(1)と(4)は経験から知識として導き出すのは難しかった気がします。なので、たまたま知っていたこれらの知識は動画制作の際におおいに役立ちました。

 

何を撮影するか

動画制作の知識から、引きと寄りのシーンの撮影、場面転換に使えそうな風景は撮影することを意識しています。これ以外にどんなシーンを撮影するかは自分の感覚を頼りにしています。正しいかどうかはわかりませんが、編集する段になって使えるなと思えるものを挙げてみます。

 

1. 話をしている人
2. 特徴的な表情
3. 身体の一部の動き
4. 道具を使っている時の動き
5. 道具を使ってできた結果
6. 予想外におこったこと

話をしている人

話をしている人を撮る場合は2種類にわけられます。プレゼンターのようにあらかじめ話をすることが予定されている人とイベントの中で自然に言葉を発する人です。

 

プレゼンターの場合は固定した場所で決まった時間帯で話をするので、固定して撮影するならば簡単です。が、長時間撮影しっぱなしにするとセリフの取りこぼしがなくなる一方で編集は大変になります。また、カメラ一台で撮影する場合は、話を聞いている聴衆も撮影が必要になるので、プレゼンターを固定して撮影し続けるというのは現実的ではありません。となると、切り取って使いたいセリフの部分をうまく撮影するというのはかなり難しく、取りこぼしたなあと思うこともよくあります。

 

イベントの中で言葉を発する人の撮影も難しいものです。いつ、どんなタイミングで言葉が出るかわからないので、あらかじめ予測してカメラを向ける必要があります。例えば、何か食べ物を食べていれば、その味などに対する言葉を発することを予想してカメラを向けます。対話のシーンでは、誰かしら何か言葉を発しているので、いくつかのシーンを撮れば使えるセリフが撮れることが多いです 

 特徴的な表情

イベントの記録動画で一番撮りたいのが人の表情です。参加者の感情を表すのに最も有効なのが人の表情だからです。一瞬の表情を捉えるのはなかなか難しいものですが、しばらく観察していると表情豊かな人を発見できるので、それらの人に照準を合わせてタイミングを待っていると、いくつかはうまく撮影できます。

身体の一部の動き

人物を撮影する時は動いている部分を入れて撮影します。瞬きでも指の動きでもどんな小さな動きでも、とまっているよりは動いている素材を組み合せる方が躍動感が出ます。

道具を使っている時の動き

ペンで書いたり、ポストイットを貼ったり、レゴを使ったりなど、道具を使っている時の動きもイベントを特徴づける素材として撮影します。その時は手元に寄って撮ることが多いです。

道具を使ってできた結果

道具を使った動きの結果できたものを撮影します。手元の動きの後にできたものをもってくると何がおこったのかがわかるからです。例えば、ポストイットを貼る動きを2~3個つなぎあわせた後には、ポストイットを貼ってできた模造紙の映像をつなぎます。

予想外におこったこと

イベントの記録動画を撮影する際には、あらかじめイベントの流れを頭に入れておきます。どこでどんなことがおきそうかを予想して、それを見越した位置にあらかじめ移動して撮影します。が、予想外のことがおこるのがイベントたる所以でもあり、そのイベントの面白さでもあります。なので、そういう場面は必ず撮影します。私にとって予想外というシーンであっても、撮影者である私が面白いと思っているので、いい絵が撮れることが多いです。

 

どう編集するか

編集作業は楽しくもあり、つらくもある作業です。1日のイベントの場合、撮影した動画の総時間は1時間を超えます。それを編集して2~3分以内、時には1分以内に編集するのは骨の折れる作業です。

 

まずはじめに撮影した動画をすべて見直し、使えそうな動画を選別します。選別しながらイベントの様子を思い出して、そのイベントを伝えるひとつのイメージを自分の中でつくっていきます。記録動画なので、実際におこった事実を切り取ってつなげるだけですが、やはりイメージをもって編集しないと統一感をもった訴求力のあるものになりません。

 

イメージが固まってくると、次にBGMを選びます。普段からストックしてあるBGMの中からイメージに合うものを探します。ここでピッタリくるBGMが見つかると、その後の編集作業がはかどります。これと決めたBGMを頭の中で流しながら編集できるからです。

 

BGMを頭の中で流しながら選別したひとつひとつの動画から実際に使う部分を切り出しながらつなげていきます。基本的には時系列につなげていきますが、場面切り替え用の素材や何かに使えそうと思って撮影した動画は、必ずしも撮影した時系列とは違う順序の位置にはさみこみます。

 

一通りつなげてみた段階では、たいてい15分程度になってしまいます。ここから2~3分までに削りに削っていく作業を地道に続けます。ここが一番しんどいところです。残したいと思ういいシーンがイベントでは沢山生まれますが、バッサリと削らざるを得ません。5分程度までになった段階でBGMを組み込んで全体のイメージを確認します。全体を通して再生して、さらに削れるところを探しながら0.1秒単位で縮めていくということを何度も繰り返します。

 

毎回、一番頭を悩ますのがオープニングとエンディングです。ここに何をもってくるかは全体の印象に大きく影響します。動画の編集は複数日にわたって行いますが、実際には編集作業をしていない時も頭の片隅に動画のことを抱えている感じがあります。オープニングやエンディングにどの絵を使うかは、編集作業をしていない時にふいに思い浮かぶことが多くあります。何に使うかはわからないけど気になったから撮っておいたものがオープニングやエンディングに使えることがあります。なので、気になったものはとりあえず撮っておくと役に立ちます。

 

(この段落は2月27日に追記しました)

エンディングでは、どの絵を使うかに加えて、BGMをどこで終わらせるかが大事になります。動画を作る際には、その目的によっておよその尺が決まります。が、尺を決定した後に既成のBGMをあてこむと、決めた尺の長さでBGMが終わると後味が悪くなってしまうことがあります。およその尺の前後で、BGMをそこで切っても自然な終わりを感じさせる位置を決めて、その長さに合わせて動画の長さを調整する方がうまくいきます。

 

編集も撮影と同様に感覚的に行っている部分が多くを占めています。なぜ、その素材を選んだのか、なぜその順序に並べたのかは論理ではなく感覚としかいいようがありません。ですから、おそらく、記録動画だとしても作った人の数だけ違うものができるのだろうと思います。

  

動画制作から学べたこと 

私の場合、他に作る人がいないという理由で、全くの我流で動画を作ってきましたが、そのおかげで学べたことがあります。

 

真っ先に挙げられるのが編集の力です。おこった事実はひとつでも編集の仕方で全く別の出来事であったかのように見えます。笑顔のシーンだけを切り取ってつなげると、あたかもイベントの参加者全員が始めから終わりまで笑っていたかのように楽しげな雰囲気に仕上がります。もちろんずっと笑っていたなんてことはないのですが。

 

予測する力も磨かれます。一瞬の出来事を逃さずに撮影するためには、予測する力が欠かせないからです。撮影しながら、常に予測を働かせておくようになります。

 

動画を作り始める時に4つの知識をもっていたことはとても役に立ちました。が、自分で作ってみることでその知識がより深く理解できました。さらに自分が作ってみることで新たな知識が創り出され、創り出された知識も次に作ることでさらに深まりと、知識と実践がスパイラルしながら上昇していくように思います。

 

動画制作は何度かやれば慣れてサクサクできるようになるということはなく、毎回つらく苦しい作業を乗り越えなければならないのですが、それゆえに出来上がった時は言葉には表しがたい爽快な気持ちを味わえます。

 

自分で作らない限りわからないことがあり、作ることでしか得られない苦しさと達成感があるということも学びました。人が何かを作ることに魅せられる理由が少しわかった気がします。